論文抄録

第120巻第5号

臨床研究

強度近視眼の有水晶体眼における裂孔原性網膜剝離の特徴
折原 唯史, 廣田 和成, 横田 怜二, 國田 大輔, 伊東 裕二, 利井 東昇, 厚東 隆志, 平岡 智之, 井上 真, 平形 明人
杏林大学医学部眼科学教室

目 的:強度近視眼の有水晶体眼における裂孔原性網膜剝離の臨床的特徴を検討する.
対象と方法:対象は2006年4月から2011年3月までに初回手術を施行した有水晶体眼の裂孔原性網膜剝離で黄斑円孔網膜剝離,続発性網膜剝離を除いた1,174眼.強度近視群(等価球面度数で-6.0 D以下か眼軸長26.5 mm以上)486眼と非強度近視群688眼を比較検討した.
結 果:強度近視群の平均発症年齢は42.7±14.2歳(平均値±標準偏差)と有意に若く,40代に1峰性ピークがあった.強度近視群の原因裂孔は円孔が多く(p<0.001),弁状裂孔が少なかった(p=0.021).網膜初回復位率と最終復位率に差はなかった.強度近視群の僚眼は,網膜剝離の合併が16.7%,格子状変性の合併が20.4%と有意に高かった.
結 論:強度近視群では若年発症,原因裂孔が円孔,僚眼の網膜剝離や格子状変性の合併が多かった.強度近視眼では僚眼にも経過観察の重要性が示唆された.(日眼会誌120:382-389,2016)

キーワード
裂孔原性網膜剝離, 強度近視, 網膜裂孔
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