目 的:Schlemm管内皮網除去(SER)と深層強膜弁切除(DS)を併施した線維柱帯切開術(TLO)の術後成績を検討すること.
対象と方法:白内障手術を併施せず術後1年以上観察が可能であったTLO+DS症例131眼(SER施行53眼,非施行78眼)を対象とした.2群間の3年後の眼圧≦20 mmHg(クライテリアA)および≦16 mmHg(クライテリアB)を生存とした生存率をKaplan-Meier生存曲線解析で比較した.
結 果:術後早期の一過性眼圧上昇発生率はSER施行群3.8%,非施行群21.8%と前者で有意に低かった.術後3年時の眼圧および術後投薬スコアに両群で有意差はなかった.クライテリアAの生存率はSER施行群で有意に高かった(p=0.008)が,クライテリアBでは両群に差はなかった(p=0.06).
結 論:SERを併施した場合,一過性眼圧上昇を抑制させ,20 mmHg以下に眼圧をコントロールできる割合が高かった.(日眼会誌120:635-639,2016)