論文抄録

第121巻第4号

臨床研究

Icare® HOMEを用いた眼圧のホームモニタリングおよび日内変動の検討
坂本 麻里, 金森 章泰, 盛 崇太郎, 上田 香織, 井上 結香子, 栗本 拓治, 山田 裕子, 中村 誠
神戸大学大学院医学研究科外科系講座眼科学分野

目 的:Icare® HOMEによる眼圧ホームモニタリングの有用性と眼圧日内変動の検討.
対象と方法:対象は神戸大学眼科通院/入院中の緑内障患者16名26眼.眼科医による説明と練習の後Icare® HOMEを貸し出し,患者が自宅/病室で自己測定した.起床から就寝まで4時間おきに3日間,各時間帯に3回連続測定し級内相関係数(ICC)を算出した.また,3回測定の平均値を用いて3日間の眼圧の日内変動パターンを解析した.
結 果:Icare® HOMEによる合併症は認めなかった.3回測定のICCは中央値0.76(95%信頼区間0.71~0.81)であった.同日内の眼圧の最高値と最低値の差は中央値4.26 mmHg(95%信頼区間4.06~4.67)であった.3日間の眼圧ピーク時間帯は再現性がなかった.使用後アンケートでは10例中3例が操作が難しいと回答した.
結 論:Icare® HOMEは安全で眼圧のホームモニタリングに有用となる可能性があるが,一部の患者では操作が難しく,その結果の評価には慎重を要する.3日間の眼圧日内変動パターンに再現性はなかった.(日眼会誌121:366-372,2017)

キーワード
Icare® HOME, ホームモニタリング, 自己眼圧測定, 日内変動, 緑内障
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