背 景:近年,抗血管内皮増殖因子(VEGF)薬の硝子体内注射が糖尿病黄斑浮腫(DME)治療の第一選択となっている.今回,希望により頻回の抗VEGF治療を行ったDME患者の糖尿病網膜症の変化を観察したので報告する.
症 例:73歳女性.近医でDMEに対し両眼トリアムシノロンアセトニドテノン囊下注射,右眼硝子体手術を施行されたが改善せず,独自判断で九州大学病院眼科を受診した.初診時視力は右0.1(0.1),左0.1(0.15),中心窩網膜厚(CMT)は右1,570 μm,左578 μm.両眼黄斑部局所光凝固を行ったが浮腫は消退せず,希望により両眼とも2年間で約20回の抗VEGF薬硝子体内注射治療を行い,視力は右0.1(0.3),左0.1(0.6),CMTは右751 μm,左208 μmと改善した.また,ETDRS Diabetic Retinopathy Severity Scale(DRSS)が両眼とも2段階改善した.
結 論:抗VEGF薬による頻回治療により糖尿病網膜症の改善効果があることを確認した.(日眼会誌121:425―430,2017)