目 的:副腎皮質ステロイド治療に抵抗を示した遷延性Vogt-小柳-原田病に対して低用量シクロスポリン(CyA)(100 mg・1日1回)を投与した効果について検討する.
対象と方法:地域医療機能推進機構大阪病院で2013年3月から2016年3月までに副腎皮質ステロイド治療に抵抗性であった遷延性Vogt-小柳-原田病の症例を後ろ向きに評価した.これらの症例に低用量CyA(100 mg・1日1回)投与を開始した.症例を前眼部と後眼部炎症の2つに分類し,それぞれの年齢,性別,CyA投与前と投与3か月後の炎症の程度,副作用について調査した.
結 果:症例は13例23眼〔女性11例,男性2例,年齢54.6±11.9(平均値±標準偏差)歳〕.前眼部炎症は9例,後眼部炎症は7例であった(重複例含む).前眼部炎症は投与3か月後に14眼中13眼(93%)の炎症が改善し,後眼部炎症は投与3か月後で13眼中10眼(77%)が改善した.副作用は,中性脂肪上昇で内服中止となった1例があった.
結 論:副腎皮質ステロイド治療に抵抗性の遷延性Vogt-小柳-原田病に対する低用量CyA投与は,前眼部・後眼部炎症ともに効果を認めたが,後眼部炎症のほうがやや効果が弱い印象であった.今後も症例数や観察期間を増やしての検討が必要であると考えられた.(日眼会誌121:474-479,2017)