背 景:毛様体解離が起こると例外なく眼圧が低下し,続いて低眼圧黄斑症から視力の低下を来すため,すみやかな診断と治療で視力回復を図る必要がある.これまでは,超音波生体顕微鏡(UBM)が毛様体解離の診断に使用されてきたが,眼に直接プローブを当てるため,患者への負担が大きいのが難点であった.
症 例:今回提示した4症例は,いずれも全周の毛様体解離(外傷性3例,医原性1例)を認めた症例である.
所 見:症例1におけるUBMで得られた毛様体解離の画像所見とほぼ同様の画像が,症例2~4では前眼部光干渉断層計(OCT)を用いることで得ることができた.4症例ともに低眼圧と視力の低下を認めたが,外科的治療の選択として,経強膜毛様体縫合術という低侵襲手術をまずは選択し,この方法が無効,あるいは毛様体解離の発症から時間が経っている場合には,ガスタンポナーデ併用硝子体手術(眼内レンズ挿入含む)を行った.最終的にすべての症例で,眼圧の上昇と視力の回復を得ることができた.術前後での前眼部OCTで,毛様体解離の復位を確認することも可能であった.
結 論:毛様体解離の診断に前眼部OCTを用いることで,従来のUBMとほぼ同等の所見を得ることができた.前眼部OCTは簡便かつ非侵襲的であるため,毛様体解離が疑われたら積極的に活用したい.外科的治療法は多岐にわたるが,比較的低侵襲である経強膜毛様体縫合術も症例によっては選択肢の一つになりうると考えられた.(日眼会誌122:875-887,2018)