目 的:リウマチ性角膜潰瘍穿孔例の臨床経過をレトロスペクティブに検討する.
方 法:角膜穿孔を来し当院に通院したリウマチ性角膜潰瘍の患者13例を対象とした.検討項目は,穿孔時の年齢,性別,関節リウマチ診断の有無,合併症,穿孔部位,治療内容,予後とした.
結 果:穿孔時年齢は70.9±7.8歳(平均値±標準偏差).男性3例,女性10例であり,経過観察期間は平均36.5±29.1か月間であった.13例中4例において関節リウマチが未診断であった.穿孔部位は瞳孔辺縁部が4例,中間部が5例,最周辺部が3例,不明が1例であった.全例で最初に保存的治療を行い,4例で穿孔の閉鎖を得た.他の9例のうち6例が表層角膜移植,3例が全層角膜移植により軽快した.保存的治療にて軽快した4例中2例に再発を認めた.治療経過中,5例に角膜感染症を合併した.
結 論:リウマチ性角膜穿孔は関節リウマチ診断の契機となることがある.穿孔部位は,瞳孔辺縁部あるいは最周辺部よりも中間部に最も多かった.副腎皮質ステロイド点眼と角膜移植は有効な治療であるが,経過中の角膜感染症に注意が必要である.(日眼会誌122:700-704,2018)