論文抄録

第123巻第8号

臨床研究

本邦における近年の緑内障手術の傾向:大規模データベースを用いた記述研究
橋本 洋平1)3), 道端 伸明2), 松居 宏樹3), 康永 秀生3), 相原 一1)
1)東京大学医学部眼科学教室
2)東京大学大学院医学系研究科ヘルスリサーチサービス講座
3)東京大学大学院医学系研究科公共健康医学専攻臨床疫学・経済学教室

目 的:近年の緑内障手術の傾向を分析する.
対象と方法:厚生労働科学研究Diagnostic Procedure Combination(DPC)データ調査研究班のDPCデータベースおよびNational Databaseオープンデータを用い,2010~2016の年度ごとに,術式別・患者年齢別の件数,白内障同時手術の件数を求めた.
結 果:濾過手術は2011年の6,116件(66%,全術式に対する割合)から2013年の4,591件(47%)へ減少したが,2016年には6,063件(50%)に再増加した.Glaucoma drainage device(GDD)(プレートなし)は2012年の1,034件(11%)から2013年の1,778件(18%)へ増加したが,2016年は1,366件(11%)に減少した.流出路再建術は6年間で2,791(34%)件から4,185件(34%)まで増加した.GDD(プレートあり)は,2014年の463件から2016年の588件へ増加した.術式全体では6年間で51%増加した.全年齢では濾過手術,0~14歳では流出路再建術が最多であった.白内障同時手術は,術式全体では2010年の2,460件から2016年の4,172件まで70%増加し,流出路再建術との同時手術が最多であった.
結 論:緑内障手術件数は術式全体,白内障同時手術ともに増加傾向であった.濾過手術はGDDの登場後も最多であった.(日眼会誌123:815-823,2019)

キーワード
緑内障手術, Diagnostic Procedure Combination(DPC)データ, National Database(NDB)オープンデータ, 濾過手術, glaucoma drainage device(GDD)
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