目 的:水晶体前面曲率半径(Front R)を指標としたZinn小帯脆弱スクリーニングの臨床応用を目的とし,眼軸長別に設定したFront Rのカットオフ値によるスクリーニングの正診率を検証すること.
対象と方法:2019年10月~2022年4月に当院にて白内障手術を施行した症例314眼を対象とした.手術前に前眼部光干渉断層計(CASIAⓇ2,トーメーコーポレーション)で測定したFront Rと,術中所見から判断したZinn小帯脆弱の有無の関連を2段階にわけて検討した.①まずは年齢,性別,眼軸長をマッチさせたZinn小帯脆弱眼と正常眼各49眼(計98眼)を眼軸長によりS群(23 mm未満)28眼,M群(23 mm以上25 mm未満)48眼,L群(25 mm以上)22眼の3群にわけ,眼軸長別にZinn小帯脆弱スクリーニングのカットオフ値を求めた.②さらに同一術者の連続症例216眼を眼軸長別の3群(S群38眼,M群100眼,L群78眼)にわけ,著者らの過去の報告に基づいたFront Rの単一カットオフ値:8.96 mm(IOL & RS 37:66-71, 2023)と,①で算出した眼軸長別カットオフ値を使用した際のZinn小帯脆弱スクリーニングの正診率を比較した.
結 果:①Front Rの眼軸長別カットオフ値はS群:7.92 mm,M群:8.78 mm,L群:8.96 mmであった.②正診率の比較では眼軸長別カットオフ値を採用すると全体で79.2→85.2%(S群52.6→84.2%,M群79.0→80.0%,L群92.3→92.3%)に向上した.
結 論:Front Rを指標としたZinn小帯脆弱スクリーニングは眼軸長を考慮することで正診率が向上し,術前診断の一助となる可能性がある.(日眼会誌129:651-657,2025)