背 景:両眼の硝子体混濁に対する硝子体生検を契機に診断され,本人および一親等親族のトランスサイレチン(TTR)バリアントの同定に至った硝子体アミロイドーシスの1例を経験した.
症 例:79歳女性.両眼の飛蚊症を自覚し近医眼科を受診.両眼の硝子体混濁と視力低下を認め,精査加療のため公立豊岡病院を紹介受診した.両眼性に視力低下,硝子体混濁を認めたが,採血・診察所見から原因の特定が困難であり,硝子体生検を兼ねた右眼硝子体手術を施行した.各種検査より感染性ぶどう膜炎,悪性リンパ腫は否定的であった.3大ぶどう膜炎を示唆する所見も乏しく,眼アミロイドーシスを鑑別診断として左眼も硝子体手術を行った.硝子体原液サンプルの精査を熊本大学アミロイドーシス診療センターへ依頼した結果,Congo-Red染色陽性のアミロイドが検出され,硝子体アミロイドーシスの診断となった.その後同大学へ患者の遺伝学的検査を依頼し,TTRバリアント〔c.148G>A p.Val30Met(p.Val50Met)〕が検出された.一親等親族である娘2人と息子1人に遺伝学的検査を行い,長女と長男に同様の遺伝子バリアントが検出された.
結 論:硝子体生検を契機に診断され,本人および一親等親族のTTRバリアントの同定に至った硝子体アミロイドーシスの1例を経験した.原因不明の硝子体混濁では悪性リンパ腫やぶどう膜炎のほかに硝子体アミロイドーシスも鑑別として念頭に置くべきである.(日眼会誌129:674-681,2025)