論文抄録

第129巻第7号

症例報告

両眼硝子体混濁に対する硝子体生検を契機に診断され,本人および一親等親族のトランスサイレチン(TTR)バリアント同定に至った硝子体アミロイドーシスの1例
田宮 真輝人1), 中西 秀雄1), 港 一美1), 杉本 八寿子1), 内富 大貴1), 浦 佐和子1), 植田 光晴2)3), 松井 啓隆4)5), 鈴木 真聖6), 岩泉 守哉7)
1)公立豊岡病院眼科
2)熊本大学大学院生命科学研究部脳神経内科
3)熊本大学アミロイドーシス診療センター
4)国立研究開発法人国立がん研究センター中央病院臨床検査科
5)熊本大学大学院医学教育部腫瘍治療・トランスレーショナルリサーチ学
6)浜松医科大学眼科学教室
7)浜松医科大学医学部附属病院検査部

背 景:両眼の硝子体混濁に対する硝子体生検を契機に診断され,本人および一親等親族のトランスサイレチン(TTR)バリアントの同定に至った硝子体アミロイドーシスの1例を経験した.
症 例:79歳女性.両眼の飛蚊症を自覚し近医眼科を受診.両眼の硝子体混濁と視力低下を認め,精査加療のため公立豊岡病院を紹介受診した.両眼性に視力低下,硝子体混濁を認めたが,採血・診察所見から原因の特定が困難であり,硝子体生検を兼ねた右眼硝子体手術を施行した.各種検査より感染性ぶどう膜炎,悪性リンパ腫は否定的であった.3大ぶどう膜炎を示唆する所見も乏しく,眼アミロイドーシスを鑑別診断として左眼も硝子体手術を行った.硝子体原液サンプルの精査を熊本大学アミロイドーシス診療センターへ依頼した結果,Congo-Red染色陽性のアミロイドが検出され,硝子体アミロイドーシスの診断となった.その後同大学へ患者の遺伝学的検査を依頼し,TTRバリアント〔c.148G>A p.Val30Met(p.Val50Met)〕が検出された.一親等親族である娘2人と息子1人に遺伝学的検査を行い,長女と長男に同様の遺伝子バリアントが検出された.
結 論:硝子体生検を契機に診断され,本人および一親等親族のTTRバリアントの同定に至った硝子体アミロイドーシスの1例を経験した.原因不明の硝子体混濁では悪性リンパ腫やぶどう膜炎のほかに硝子体アミロイドーシスも鑑別として念頭に置くべきである.(日眼会誌129:674-681,2025)

キーワード
硝子体混濁, 硝子体アミロイドーシス, トランスサイレチン遺伝子, 遺伝性ATTRアミロイドーシス
Corresponding Author(別刷請求先)
〒668-8501 豊岡市戸牧1094 公立豊岡病院組合立豊岡病院眼科 中西 秀雄
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