論文抄録

第130巻第9号

症例報告

歯科治療で改善した強膜炎の3例
平岡 美紀1), 寺田 裕2), 内山 明生3), 舞田 健夫3), 北市 伸義1)
1)北海道医療大学予防医療科学センター医学部門眼科学系
2)北海道医療大学病院歯科
3)北海道医療大学歯学部口腔機能修復・再建学系高度先進補綴学

背 景:強膜炎の治療には副腎皮質ステロイド薬点眼が有効なことが多い.しかし副腎皮質ステロイド薬の全身投与にも反応が乏しい症例も一部で認められる.副腎皮質ステロイド薬の局所投与に抵抗性で,歯科治療によって改善した強膜炎3例を経験したので報告する.
症例と所見:3症例はいずれも副腎皮質ステロイド薬の局所投与で強膜炎の改善がみられなかった.症例1は両眼の前部強膜炎がみられた.初診から1.5か月後に歯周病の治療を受けたところ,強膜炎が消退した.症例2は高血圧の基礎疾患があり,4か月前より両眼の強膜炎を発症し,副腎皮質ステロイド薬の局所および全身投与でも改善しなかった.歯科診察で複数の重度う蝕歯と全顎の歯周病がみられ,歯科治療を行ったところ強膜炎は軽快した.症例3は左眼の眼痛と強膜炎があり,副腎皮質ステロイド薬点眼で改善しなかった.5年前から左上の臼歯に痛みがあったが,歯科治療を中断していた.歯科診察でう蝕歯による歯の根尖病変と歯周病が認められた.歯科治療開始後,強膜炎は消退した.
結 論:治療抵抗性の強膜炎に対しては口腔内環境の改善が病状の軽症化に寄与する例があると考えられる.(日眼会誌130:794-800,2026)

キーワード
強膜炎, 歯周病, 副腎皮質ステロイド薬, う蝕歯, 歯科治療
Corresponding Author(別刷請求先)
〒002-8072 札幌市北区あいの里2条5丁目 北海道医療大学予防医療科学センター医学部門眼科学系 平岡 美紀