背 景:強膜炎の治療には副腎皮質ステロイド薬点眼が有効なことが多い.しかし副腎皮質ステロイド薬の全身投与にも反応が乏しい症例も一部で認められる.副腎皮質ステロイド薬の局所投与に抵抗性で,歯科治療によって改善した強膜炎3例を経験したので報告する.
症例と所見:3症例はいずれも副腎皮質ステロイド薬の局所投与で強膜炎の改善がみられなかった.症例1は両眼の前部強膜炎がみられた.初診から1.5か月後に歯周病の治療を受けたところ,強膜炎が消退した.症例2は高血圧の基礎疾患があり,4か月前より両眼の強膜炎を発症し,副腎皮質ステロイド薬の局所および全身投与でも改善しなかった.歯科診察で複数の重度う蝕歯と全顎の歯周病がみられ,歯科治療を行ったところ強膜炎は軽快した.症例3は左眼の眼痛と強膜炎があり,副腎皮質ステロイド薬点眼で改善しなかった.5年前から左上の臼歯に痛みがあったが,歯科治療を中断していた.歯科診察でう蝕歯による歯の根尖病変と歯周病が認められた.歯科治療開始後,強膜炎は消退した.
結 論:治療抵抗性の強膜炎に対しては口腔内環境の改善が病状の軽症化に寄与する例があると考えられる.(日眼会誌130:794-800,2026)