目　的：ポリープ状脈絡膜血管症（PCV）にみられるポリープ状血管および異常血管網について，走査レーザー検眼鏡のレトロモード（Retro-mode：RM）で検出される網膜色素上皮圧痕を検討する．
対象と方法：眼底所見およびインドシアニングリーン蛍光眼底造影（IA）でPCVと診断された29例30眼を対象とした．ポリープ状血管および異常血管網のRMによる検出率，検出不能な場合は，その主な原因，またIA晩期像とRMでの圧痕の比較を行った．
結　果：PCV眼にみられるRMでの検出率について，ポリープ状血管はIAでも検出されないものを含み，完全検出13眼（43.3%），一部検出8眼（26.7%），検出不能9眼（30.0%）であり，異常血管網はそれぞれ完全検出15眼（50.0%），一部検出5眼（16.7%），検出不能10眼（33.3%）であった．ポリープ状血管および異常血管網がRMで検出不能となる原因は漿液性網膜剥離と嚢胞様黄斑浮腫が最も多く，その他，フィブリン，出血性色素上皮剥離，網膜下出血，色素上皮萎縮などであった．異常血管網がIAと比較し，RMで同等あるいはそれ以上鮮明に描出されたのは14眼（46.7%）であった．
結　論：IAでみられるPCVのポリープ状血管および異常血管網の一部は，RMにより血管性色素上皮圧痕として検出された．（日眼会誌116：946-954，2012）