論文抄録

第116巻第10号

臨床研究

ブリモニジン点眼液の原発開放隅角緑内障および高眼圧症を対象とした臨床第III相試験―チモロールとの比較試験またはプロスタグランジン関連薬併用下におけるプラセボとの比較試験
新家 眞1), 山崎 芳夫2), 杉山 和久3), 桑山 泰明4), 谷原 秀信5)
1)公立学校共済組合関東中央病院
2)日本大学医学部視覚科学系眼科学分野
3)金沢大学大学院医学系研究科脳医科学専攻脳病態医学講座視覚科学
4)福島アイクリニック
5)熊本大学大学院生命科学研究部視機能病態学分野

目 的:ブリモニジン点眼液の眼圧下降効果と安全性を,単剤でチモロール点眼液との比較,またはプロスタグランジン(PG)点眼液併用下でプラセボとの比較により検討する.
対象と方法:原発開放隅角緑内障および高眼圧症475例を対象に,点眼4週後の0および2時間値の平均眼圧変化値を比較した.
結 果:単剤投与ではチモロール群:-4.7±2.1 mmHg(平均値±標準偏差),ブリモニジン群:-4.0±2.0 mmHg(p=0.0138),両群の差の95%信頼区間上限は1.3 mmHgであった.この値は設定仮説1.2 mmHgを上回り,両群の眼圧下降効果は同等ではなかった.またPG点眼液併用下では,プラセボ群:-2.1±1.8 mmHgに対しブリモニジン群:-2.9±1.8 mmHgと両群の差は有意だった(p=0.0010).単剤投与,PG点眼液併用下ともに特記すべき副作用はなかった.
結 論:ブリモニジン点眼液の眼圧下降効果はチモロール点眼液よりやや劣るが,PG点眼液併用下では有意に眼圧を下降させた.(日眼会誌116:955-966,2012)

キーワード
ブリモニジン, チモロール, プロスタグランジン, 緑内障, 併用治療
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