特発性黄斑上膜に対する小切開硝子体手術は,低侵襲かつ安全性の高い治療として確立されている.しかし,術後黄斑上膜がきれいに除去されているにもかかわらず,十分な視力を得られないことをしばしば経験する.
黄斑上膜術後の視力予後因子に関しては過去にさまざまな報告がなされているが,我々は,スペクトラルドメイン光干渉断層計(SD-OCT)を用いて,術前視細胞内節·外節接合部(IS/OS junction)の形態が有意に術後視力,視力改善度と関連性があることを報告した.
また同時に,SD-OCTにおけるIS/OS junctionの術前·術後変化についても検討した.術前IS/OS junctionが整であった症例は術後一過性にIS/OS junctionの不整がみられても術後1年までに全例が回復した.一方,術前IS/OS junctionが不整であった症例は術後1年の経過でもIS/OS junctionは不整なままであり,前者で有意に術後視力·視力改善度は良好であった.以上のようにSD-OCTを用いて黄斑形態の術前·術後評価を行うことで術後視力の予測が可能となった.(日眼会誌116: 1029-1036,2012)