Behçet病ぶどう膜炎は眼炎症発作を繰り返すため現在でも失明原因として大きな位置を占めている.その発症機構には,種々の自己抗原に反応するCD4 T細胞が中心的な役割を果たし,発現する補助シグナル分子によって,その活性化·不活性化が制御されている.活動期Behçet病ぶどう膜炎患者では種々の補助シグナル分子の中でも活性型補助シグナル分子であるinducible co-stimulator(ICOS)が最も強く発現していた.さらに,Th1細胞およびTh17細胞のサイトカイン産生に関与し,疾患活動性の指標および将来的に治療標的となりうる可能性が示唆された.ICOS/B7RP-1補助シグナル経路の阻害はさまざまな自己免疫疾患モデルにおいて良好な治療成績が得られているため,将来Behçet病ぶどう膜炎の治療法としても期待される.(日眼会誌116: 1037-1045,2012)