論文抄録

第116巻第2号

臨床研究

糖尿病黄斑浮腫に対するベバシズマブ硝子体内投与後の黄斑虚血
中村 洋介1), 武田 憲夫1), 辰巳 智章2), 忍足 俊幸2), 新井 みゆき2), 高綱 陽子2), 三田村 佳典3), 山本 修一2)
1)国立国際医療研究センター病院眼科
2)千葉大学大学院医学研究院眼科学
3)徳島大学大学院ヘルスバイオサイエンス研究部眼科学分野

目的:糖尿病黄斑浮腫(diabetic macular edema:DME)に対するベバシズマブ硝子体内投与(intravitreal bevacizumab:IVB)後の黄斑虚血について検討する.
対象と方法:DMEに対しベバシズマブ1.25 mg硝子体内投与を施行した33例33眼において,投与前と3か月後のフルオレセイン蛍光眼底造影検査にて,中心窩無血管帯(foveal avascular zone:FAZ)値を計測し,投与前後で比較検討した.本治療については,千葉大学病院倫理委員会の承認を得た.
結果:IVB後,有意にFAZの拡大がみられた(p=0.03).33例中2例(約6%)にFAZの50%以上の拡大を伴った高度な黄斑虚血を生じたが,2例ともに視力低下はなく,中心窩網膜厚は減少していた.
結論:IVBに伴い黄斑虚血が誘発された可能性が示唆された.(日眼会誌116:108-113,2012)

キーワード
ベバシズマブ, 糖尿病黄斑浮腫, 黄斑虚血
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〒162-8655 東京都新宿区戸山1-21-1 国立国際医療研究センター病院眼科 中村 洋介
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