背景:Prader-Willi症候群は高率に糖尿病を合併するが,増殖糖尿病網膜症に至り,硝子体手術を施行された報告は4例6眼のみである.両眼とも局所麻酔下で早期手術し,経過良好な1例を報告する.
症例:30歳男性.2歳で本症候群と診断,17歳で糖尿病を発症した.29歳で初めて眼科受診,網膜症を指摘され紹介受診した.視力は両眼とも(0.6).両眼に白内障と黄斑浮腫を伴う増殖網膜症を認めた.汎網膜光凝固を行うも,両眼に増殖膜,左眼に硝子体出血が発生し,視力は両眼とも(0.3)に低下した.内科に入院し血糖コントロール後,麻酔科医待機,催眠鎮静薬筋肉注射,球後麻酔下で左眼の白内障·硝子体同時手術を行った.翌週右眼も同様に手術し,4日後退院した.術後2年経過したが,視力は右(0.8),左(0.6)を維持している.
結論:本症候群の患者においても,糖尿病網膜症の早期診断と早期治療が望まれる.(日眼会誌116:114-118,2012)