論文抄録

第116巻第2号

症例報告

両眼局所麻酔で増殖糖尿病網膜症に対する早期硝子体手術が施行できたPrader-Willi症候群の1例
堀 秀行1), 佐藤 幸裕2), 中島 基弘3)
1)自治医科大学眼科学講座
2)自治医科大学糖尿病センター眼科
3)日本大学医学部視覚科学系眼科学分野

背景:Prader-Willi症候群は高率に糖尿病を合併するが,増殖糖尿病網膜症に至り,硝子体手術を施行された報告は4例6眼のみである.両眼とも局所麻酔下で早期手術し,経過良好な1例を報告する.
症例:30歳男性.2歳で本症候群と診断,17歳で糖尿病を発症した.29歳で初めて眼科受診,網膜症を指摘され紹介受診した.視力は両眼とも(0.6).両眼に白内障と黄斑浮腫を伴う増殖網膜症を認めた.汎網膜光凝固を行うも,両眼に増殖膜,左眼に硝子体出血が発生し,視力は両眼とも(0.3)に低下した.内科に入院し血糖コントロール後,麻酔科医待機,催眠鎮静薬筋肉注射,球後麻酔下で左眼の白内障·硝子体同時手術を行った.翌週右眼も同様に手術し,4日後退院した.術後2年経過したが,視力は右(0.8),左(0.6)を維持している.
結論:本症候群の患者においても,糖尿病網膜症の早期診断と早期治療が望まれる.(日眼会誌116:114-118,2012)

キーワード
Prader-Willi症候群, 増殖糖尿病網膜症, 局所麻酔, 硝子体手術
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