目的:網膜静脈閉塞症症例における睡眠呼吸障害の合併頻度の検討.
対象と方法:硝子体手術,抗凝固療法を行った網膜静脈閉塞症連続40症例.男性19例,女性21例.睡眠時にパルスオキシメータを装着し,睡眠中の4%動脈血酸素飽和度低下指数を算出,4%動脈血酸素飽和度低下指数≥5を睡眠呼吸障害と診断した.網膜静脈分枝閉塞症,網膜中心静脈閉塞症での比較も行った.4%動脈血酸素飽和度低下指数と高血圧,糖尿病,body mass indexの相関も検討した.
結果:男性42%,女性33%,全体で37%を睡眠呼吸障害と診断した.網膜静脈分枝閉塞症,網膜中心静脈閉塞症の間に睡眠呼吸障害検査結果の差はなかった.4%動脈血酸素飽和度低下指数は糖尿病合併と相関がある傾向を認め,body mass indexとは有意な相関を認めた.
結論:網膜静脈閉塞症症例の診療の際,眼科医は睡眠呼吸障害が高頻度に合併していることを念頭に置く必要がある.(日眼会誌116:81-85,2012)