目的:クモ膜下出血患者におけるクモ膜下出血量と眼内出血の関連を調べる.
対象と方法:対象はクモ膜下出血63例(男性25例,女性38例,平均58歳).クモ膜下出血量をFisher分類で分類し,眼底所見と比較検討した.
結果:両眼とも出血を認めなかったもの(以下,出血なし群)は35例,片眼か両眼に硝子体出血か網膜前出血を認めたもの(以下,硝子体出血群)は16例,片眼か両眼に網膜内出血のみを認めたもの(以下,網膜内出血群)は12例であった.クモ膜下出血量が多くなると網膜内出血群や出血なし群と比較して硝子体出血群の発症率は高い傾向にあったが(p<0.05,Kruskal-Wallisの検定),網膜内出血群と出血なし群のFisher分類IVの割合に有意差は認めなかった(p>0.05,χ2検定).
結論:これらより硝子体出血はクモ膜下出血量が多いと発症しやすい可能性があり,網膜内出血の発症にはクモ膜下出血量と関連がないことが示唆された.(日眼会誌116:379-382,2012)