論文抄録

第116巻第4号

臨床研究

球面眼内レンズと硝子体コンタクトレンズの組み合わせによる眼底中央視認性の比較
加賀 達志1), 魚里 博2), 川守田 拓志2), 吉田 則彦1)
1)社会保険中京病院眼科
2)北里大学医療衛生学部視覚機能療法学

目的:硝子体手術で良好な眼底中央視認性を示す球面眼内レンズ(IOL)と硝子体コンタクトレンズ(VCL)の組み合わせを知ること.
方法:Gullstrand眼球モデルで,光線追跡法による光学シミュレーションを行った.挿入するIOLの素材は,屈折率1.550(高屈折アクリルIOL),1.470(低屈折アクリルIOL)と1.413(シリコーンIOL)を想定して,両凸型球面レンズ(光学径6 mm,23.5 D)に設計した.使用するVCLの屈折率は,1.900(HEMA VCL),1.490(PMMA VCL)ならびに1.413(シリコーンVCL)を想定して,前面は平面,後面は曲率半径7.70 mmの凹レンズ(光学径10 mm)に設計した.IOL挿入眼球とVCLを含めた全体の光学系の球面収差を算出した.
結果:球面収差が最小となる組み合わせは,高屈折アクリルIOL挿入ではシリコーンVCL,低屈折アクリルならびにシリコーンIOL挿入ではPMMA VCLであった.
結論:硝子体手術で最も良好な眼底中央視認性が得られる組み合わせは,高屈折アクリルIOL挿入ではシリコーンVCL,低屈折アクリルならびにシリコーンIOL挿入ではPMMA VCLと思われる.(日眼会誌116:383-386,2012)

キーワード
硝子体コンタクトレンズ, 眼内レンズ, 眼底視認性, 球面収差, 屈折率
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