目的:硝子体手術で良好な眼底中央視認性を示す球面眼内レンズ(IOL)と硝子体コンタクトレンズ(VCL)の組み合わせを知ること.
方法:Gullstrand眼球モデルで,光線追跡法による光学シミュレーションを行った.挿入するIOLの素材は,屈折率1.550(高屈折アクリルIOL),1.470(低屈折アクリルIOL)と1.413(シリコーンIOL)を想定して,両凸型球面レンズ(光学径6 mm,23.5 D)に設計した.使用するVCLの屈折率は,1.900(HEMA VCL),1.490(PMMA VCL)ならびに1.413(シリコーンVCL)を想定して,前面は平面,後面は曲率半径7.70 mmの凹レンズ(光学径10 mm)に設計した.IOL挿入眼球とVCLを含めた全体の光学系の球面収差を算出した.
結果:球面収差が最小となる組み合わせは,高屈折アクリルIOL挿入ではシリコーンVCL,低屈折アクリルならびにシリコーンIOL挿入ではPMMA VCLであった.
結論:硝子体手術で最も良好な眼底中央視認性が得られる組み合わせは,高屈折アクリルIOL挿入ではシリコーンVCL,低屈折アクリルならびにシリコーンIOL挿入ではPMMA VCLと思われる.(日眼会誌116:383-386,2012)