目 的:内因性真菌性眼内炎に対する全身管理医師の見解からカンジダ血症患者の眼底検査の必要性を評価すること.
症例と方法:新潟県立がんセンター新潟病院にて2003年1月から2009年9月までの間にカンジダ血症と診断された入院患者37例の臨床経過を後ろ向きに調査した.また,全身管理医師53名にカンジダ血症と眼内炎に対する意識調査を行った.
結 果:13名(24.5%)の医師は必ず眼科受診させ,31名(58.5%)の医師は眼症状時に眼科受診させると答えた.散瞳下眼底検査を受けた6例(16.2%)中,1例のみ内因性真菌性眼内炎の初期である網脈絡膜炎として診断治療され完全治癒した.
結 論:眼症状のあるカンジダ血症患者全例に対しての散瞳下眼底検査は重要であるが,適切な抗真菌療法が行われている医療機関では,すべてのカンジダ血症患者を眼科受診させる必要はない.ただし,内因性真菌性眼内炎についての他科医師への啓発は必要である.(日眼会誌116:476-484,2012)