目 的:結膜悪性黒色腫の臨床像と治療予後を明らかにする.
症 例:東京医科大学病院眼科で診断,加療された結膜悪性黒色腫11例について,診療録をもとに臨床像と予後を検討した.
結 果:初診時平均年齢は62.3歳,男性が6例,女性が5例であった.発生母地としては原発性後天性メラノーシスが45%,母斑が9%,両病変が考えられた症例が27%,de novoと考えられた症例が18%であった.全例に診断と治療を兼ねた外科的切除に冷凍凝固術などの補助療法を併施した.術後に局所再発を来したのは45%で,Kaplan-Meier生存曲線で2年再発率は38%であった.再発例に対する治療は外科的切除を原則とし,転移を認めた3例に対しては転移巣の切除と化学療法を施行した.
結 論:結膜悪性黒色腫に対しては外科的切除と冷凍凝固術などの補助療法の併用による治療が中心に行われているが,今回の検討では高い再発率および転移症例を認めたことにより,より効果的な治療の検討が必要である.(日眼会誌116:503-509,2012)