論文抄録

第116巻第6号

臨床研究

糖尿病黄斑浮腫に対する直接凝固併用マイクロパルス·ダイオードレーザー閾値下凝固の治療成績の検討
稲垣 圭司, 伊勢田 歩美, 大越 貴志子
聖路加国際病院眼科

目 的:糖尿病黄斑浮腫に対する,直接凝固併用マイクロパルス·ダイオードレーザー閾値下凝固(subthreshold micropulse diode laser photocoagulation:SMDLP)の治療成績を検討する.
対象と方法:糖尿病黄斑浮腫20例21眼に対し,SMDLP施行後1か月以内に毛細血管瘤に対し直接凝固を施行した.術前後における平均視力,光干渉断層計による中心窩網膜厚(central macular thickness:CMT)についてカルテから後ろ向きに検討した.
結 果:術後3,6か月において平均視力に有意差を認めなかったが,平均CMTが有意に減少(術後3か月:p=0.018,術後6か月:p=0.004)していた.視力変化は術後6か月において不変または改善を示した症例は20/20眼(100%)であった.
結 論:直接凝固併用SMDLPは術後6か月までの経過で視力を維持しつつ黄斑浮腫を改善する有効な治療であることが示唆された.(日眼会誌116:568-574,2012)

キーワード
糖尿病黄斑浮腫, マイクロパルス·ダイオードレーザー閾値下凝固, 光干渉断層計, 直接凝固, 毛細血管瘤
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〒104-8560 東京都中央区明石町9-1 聖路加国際病院眼科 稲垣 圭司
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