論文抄録

第116巻第8号

臨床研究

非接触型マイボグラフィーを用いた放射線治療後のマイボーム腺の評価
伊藤 泰明1), 平岡 孝浩1), 南川 裕香2), 大鹿 哲郎1)
1)筑波大学医学医療系眼科
2)東京厚生年金病院眼科

目 的:眼部放射線治療後のドライアイは眼合併症の一つであり,原因として涙液分泌能低下などが報告されているが,マイボーム腺への影響を検討した報告は少ない.そこで放射線治療後のマイボーム腺の形態的特徴をマイボグラフィーを用いて検討した.
対象と方法:眼部悪性リンパ腫に放射線治療が行われた8例13眼を対象とした(男性2例,女性6例,年齢65.1±17.6歳:平均値±標準偏差).非接触型マイボグラフィーを用いてマイボーム腺の脱落度をマイボスコアとして算出し,正常対照群21例41眼と比較した.
結 果:治療眼のマイボスコアは平均値3.69±0.75,対照群は2.41±1.34であり有意差が認められた(p=0.0029).また,片眼照射例での治療眼の平均値は4.00±1.00,非照射眼は2.66±0.57と,治療眼が高値を示す傾向がみられた.
結 論:放射線治療によってマイボーム腺が萎縮や脱落などの障害を受けることが形態学的に示された.(日眼会誌116:715-720,2012)

キーワード
マイボーム腺, 放射線治療, マイボスコア, 非接触型マイボグラフィー, 眼部悪性リンパ腫
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