論文抄録

第116巻第8号

臨床研究

ステロイド緑内障に対するselective laser trabeculoplastyの有効性
徳田 直人, 井上 順, 山崎 泉, 松澤 亜紀子, 宗正 泰成, 北岡 康史, 高木 均, 上野 聰樹
聖マリアンナ医科大学眼科学教室

目 的:ステロイド緑内障に対するselective laser trabeculoplasty(SLT)の有効性を検討する.
対象と方法:対象はSLT後12か月以上経過観察が可能であった41例46眼(平均年齢58.2歳).病型は,ステロイド緑内障:10眼,原発開放隅角緑内障(POAG):16眼,落屑緑内障(PEX.G)10眼,混合型緑内障(Mixed.G):10眼.SLT照射範囲は360°とした.SLT前後の眼圧,SLT施行後の累積生存率について比較検討した.
結 果:SLT後12か月でステロイド緑内障群:29.9→17.9 mmHg(p<0.001),POAG群:20.0→17.3 mmHg(p<0.001),PEX.G群:21.1→18.1 mmHg(p<0.05),Mixed.G群:21.3→19.9 mmHg(p=0.064)と,Mixed.G群を除いて各病型群ともに有意な眼圧下降を示した.眼圧下降率はステロイド緑内障群:35.9%,POAG群:13.2%,PEX.G群:10.7%,Mixed.G群:6.9%であり,ステロイド緑内障群は他の病型群に比し有意な眼圧下降率を示した(p<0.01).累積生存率はステロイド緑内障群:80%,POAG群:56.3%,PEG群:50.0%,Mixed.G群:40.0%であった(p=0.467).
結 論:ステロイド緑内障は,他の緑内障病型と比べてSLTによる眼圧下降率が高い.(日眼会誌116:751-757,2012)

キーワード
選択的レーザー線維柱帯形成術(SLT), ステロイド緑内障
別刷請求先
〒216-8511 川崎市宮前区菅生2-16-1 聖マリアンナ医科大学眼科学教室 徳田 直人
tokunao@nifty.com