目 的:線維柱帯切除術の単独手術と超音波乳化吸引術との同時手術で術後前房フレア値を比較する.
対象と方法:白内障を伴う開放隅角緑内障を対象に前向き試験を行った.マイトマイシンC併用線維柱帯切除術の単独手術と超音波乳化吸引術との同時手術の術前,術後2週,術後4週目の前房フレア値をレーザーフレアセルメーターで測定した.
結 果:単独手術24例と同時手術26例が前房フレア値を測定できた.単独手術と同時手術との前房フレア値の比較では,いずれの測定時にも有意な差は認めなかった.ロジスティック回帰分析で,病型が落屑緑内障であること(オッズ比8.978,p=0.0028)と術後に浅前房を来したこと(オッズ比15.539,p=0.0074)が術後2週目の前房フレア値が高値になる因子であった.
結 論:同時手術を行っても単独手術よりも前房フレア値が高値にはならない.落屑緑内障と術後浅前房が前房フレア値の上昇に関連する.(日眼会誌116:856-861,2012)