目 的:我々が開発した瞬目を簡便,詳細に記録することができる装置(瞬目高速解析装置)を用いて,高齢者と若年者の自発性瞬目と随意性瞬目を測定し両者の違いを検討する.
方 法:22歳~85歳の健常人50名(男性20名,女性30名)を対象とした.瞬目高速解析装置を用いて40秒間は自然な状態で,その後5秒間できるだけ素早い瞬目を行うように指示を出して撮影した.測定は両側それぞれ1回ずつ行い,自動解析ソフトウェアを用いて解析を行い統計学的に検討した(Mann-Whitney U検定).
結 果:自発性瞬目回数は若年者と高齢者に差を認めなかったが,女性はどちらの年齢群も男性より瞬目回数が多い傾向にあった.若年者は高齢者より瞬目は深く,時間が長くなる傾向にあった.随意性瞬目は若年者で有意に回数が多くなった(p<0.05).若年者も高齢者も女性のほうが瞬目は深く,最大速度も速かった.
結 論:自発性瞬目では年齢による差はなく,随意性瞬目では年齢差を認めた.いずれの瞬目でも性差が存在することが示された.(日眼会誌116:862-868,2012)