論文抄録

第116巻第9号

臨床研究

瞬目高速解析装置を用いた瞬目の加齢性変化の検討
木村 直子1), 渡辺 彰英1), 鈴木 一隆2), 豊田 晴義2), 袴田 直俊2), 中村 芳子3), 木下 茂1)
1)京都府立医科大学大学院視覚機能再生外科学
2)浜松ホトニクス株式会社
3)NTT関西健康管理センタ

目 的:我々が開発した瞬目を簡便,詳細に記録することができる装置(瞬目高速解析装置)を用いて,高齢者と若年者の自発性瞬目と随意性瞬目を測定し両者の違いを検討する.
方 法:22歳~85歳の健常人50名(男性20名,女性30名)を対象とした.瞬目高速解析装置を用いて40秒間は自然な状態で,その後5秒間できるだけ素早い瞬目を行うように指示を出して撮影した.測定は両側それぞれ1回ずつ行い,自動解析ソフトウェアを用いて解析を行い統計学的に検討した(Mann-Whitney U検定).
結 果:自発性瞬目回数は若年者と高齢者に差を認めなかったが,女性はどちらの年齢群も男性より瞬目回数が多い傾向にあった.若年者は高齢者より瞬目は深く,時間が長くなる傾向にあった.随意性瞬目は若年者で有意に回数が多くなった(p<0.05).若年者も高齢者も女性のほうが瞬目は深く,最大速度も速かった.
結 論:自発性瞬目では年齢による差はなく,随意性瞬目では年齢差を認めた.いずれの瞬目でも性差が存在することが示された.(日眼会誌116:862-868,2012)

キーワード
瞬目高速解析装置, 自発性瞬目, 随意性瞬目, 瞬目時間, 最大瞬目速度
別刷請求先
〒602-8566 京都市上京区梶井町465 京都府立医科大学大学院視覚機能再生外科学 木村 直子
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