論文抄録

第117巻第1号

臨床研究

非球面眼内レンズ眼の高次収差の特徴
湖﨑 亮1), 湖﨑 淳1), 前田 直之2)
1)医療法人湖崎会湖崎眼科
2)大阪大学大学院医学系研究科視覚情報制御学寄附講座

目 的:非球面眼内レンズ(IOL)挿入眼の眼球および眼内の高次収差を測定し,球面IOL挿入眼と比較検討すること.
対象と方法:対象は,145例204眼で,その内訳は,非球面IOL挿入眼として,FY-60AD挿入例45眼,N4-18YG挿入例43眼,球面IOL挿入眼として,YA-60BBR挿入例38眼,AU6K挿入例32眼,およびPMMA球面IOLのMZ30BD挿入例46眼とした.方法は,術前,術後1か月における瞳孔径6 mmの3次,4次の高次収差を波面センサーKR9000PWで測定し,眼内,眼球の高次収差を比較検討した.
結 果:術後1か月の眼内球面収差(平均値±標準偏差)は,FY-60AD群が-0.14±0.07 μm,N4-18YG群が-0.23±0.08 μm,YA-60BBR群が0.16±0.08 μm,AU6K群が0.04±0.06 μm,MZ30BD群が0.17±0.10 μmであった.眼球の全高次収差は,非球面IOLのFY-60AD群とN4-18YG群が,球面IOL群より有意に低値であった.IOL度数と眼内球面収差は,MZ30BD群では正の,FY-60AD群とN4-18YG群では負の相関を認めた.
結 論:IOLにより術後の眼球および眼内高次収差は異なり,IOL度数と球面収差の補正効果の関係もさまざまであり,その特徴を考えてIOLを選択する必要がある.(日眼会誌117:27-34,2013)

キーワード
非球面眼内レンズ, 高次収差, 球面収差, 眼内レンズ度数
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