論文抄録

第117巻第1号

臨床研究

中心性漿液性脈絡網膜症における脈絡膜血管透過性亢進に伴う網膜色素上皮微細顆粒状病変
竹田 宗泰, 佐藤 唯
桑園むねやす眼科

目 的:中心性漿液性脈絡網膜症(CSC)におけるインドシアニングリーン蛍光眼底造影(IA)でみられる脈絡膜血管透過性亢進と走査レーザー検眼鏡のレトロモードによる網膜色素上皮(RPE)病変との相関を調べる.
方 法:対象はCSC 20例(僚眼を含め40眼)で,これらの症例を眼底病変群25眼と眼底異常のない僚眼(眼底正常群)15眼に分けた.これら症例についてIAでの脈絡膜血管透過性亢進とレトロモードで検出されるRPEの微細顆粒状病変(MGL)を分析した.
結 果:レトロモードで検出されるMGLはCSCの僚眼を含み40眼中38眼(95%),眼底病変群25眼では全例,眼底正常群(CSCの僚眼)15眼では13眼(87%)にみられた.レトロモードで検出されるMGLの範囲について,IAでの脈絡膜血管透過性亢進部より広いもの18眼(45%),ほぼ一致するもの15眼(38%)で,MGLと脈絡膜血管透過性亢進部とは何らかの関連を認めた.脈絡膜血管透過性亢進が検出できないものは7眼(17%)であった.
結 論:MGLはIAでみられる脈絡膜血管透過性亢進により発生した可能性がある.(日眼会誌117:44-49,2013)

キーワード
中心性漿液性脈絡網膜症, 脈絡膜血管透過性亢進, レトロモード(走査レーザー検眼鏡), 網膜色素上皮微細顆粒状病変(MGL)
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