目 的:皮膚電極による網膜電図(electroretinogram:ERG)とコンタクトレンズ電極(以下,CL電極)によるERGの波形を正常対象者で比較し検討する.
対象と方法:対象は,屈折異常以外に眼科的疾患を有しない健常人31例62眼(男性8例,女性23例)で平均年齢は34.0±8.1歳(平均値±標準偏差).同一被検者に対して,LED光刺激を用いて,皮膚電極とCL電極でflash ERGを測定した.両電極のERG波形におけるa波とb波の振幅と振幅比(b/a比),および潜時を比較し,相関関係の有無を評価した.
結 果:皮膚電極ERGは,CL電極よりa波,b波の振幅,b/a比が小さく,a波,b波の潜時は短かった(p<0.001).両電極間で,b波振幅,b/a比,a波とb波の潜時は相関を示した(p<0.01).皮膚電極では16眼がOP4をb波として検出した.
結 論:皮膚電極ERGは,CL電極と比べて振幅は小さく潜時は短いが波形に相関がみられ,CL電極装着が困難な小児や角結膜疾患患者に有用である.しかし,臨床応用に向けてさらなる検討が必要である.(日眼会誌117:5-11,2013)