論文抄録

第117巻第10号

臨床研究

トラボプロスト/チモロール配合剤点眼薬の眼圧および眼表面に対する評価
金本 尚志1), 木内 良明2), 市岡 伊久子3), 大西 徹4), 長田 健二5), 木村 亘6), 末廣 龍憲7), 永谷 学8), 広田 篤9), 向井 聖10), 三好 輝行11), 吉田 博則11)
1)広島記念病院眼科
2)広島大学病院眼科
3)市岡眼科
4)大西眼科
5)おさだ眼科クリニック
6)木村眼科内科病院
7)安佐市民病院眼科
8)永谷眼科
9)広田眼科
10)庄原赤十字病院眼科
11)三好眼科

目的:トラボプロスト/チモロール配合剤点眼薬の眼圧下降効果と眼表面因子への影響を検討すること.
対象と方法:多施設共同の前向き研究.プロスタグランジンF2α誘導体(PG)を単剤点眼中の原発開放隅角緑内障(POAG)28眼(PG群)と,PGと交感神経β遮断薬を2剤併用点眼中のPOAG 38眼(PG+BB群)をトラボプロスト/チモロール配合剤点眼薬に変更し,1か月後·3か月後の眼圧下降に対する有効性,結膜所見(球結膜充血,濾胞),角膜上皮障害に対する安全性を評価した.点眼の使用感のアンケート調査も行った.
結果:配合剤点眼薬に変更した後,眼圧はPG群で下降したがPG+BB群で変動しなかった.いずれの群でも結膜充血·角膜上皮障害スコアは変化せず,点眼の使用感アンケートのスコアも変化はなかった.
結論:トラボプロスト/チモロール配合剤点眼薬は,日本人のPOAGに対して十分な眼圧下降効果を有し,眼表面因子への影響もPG単剤点眼や交感神経β遮断薬点眼と同等である.(日眼会誌117:793-798,2013)

キーワード
緑内障, トラボプロスト, チモロール, 配合剤点眼薬, 眼圧, 眼表面因子, 点眼アンケート
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〒730-0802 広島市中区本川町1-4-3 広島記念病院眼科 金本 尚志
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