骨髄由来血管内皮前駆細胞(EPC)は,生体内血管形成において重要な機能を担い,また,近年ではEPCが分化に伴い,血管修復·形成能を獲得することが判明している.そこで,EPC生物学の観点から,網膜異常血管形成を伴う未熟児網膜症(ROP)における病態解明を目的として,ROPモデルである酸素誘発網膜症(OIR)発症マウスを用いて,EPC分化動態解析を行った.網膜血管閉塞期より生じるEPCの分化,動員および網膜血管への組込みの遅延とともに網膜異常血管形成が認められた.さらに,分化段階の進んだEPCの眼内移植により,網膜異常血管の修復が確認された.ROPにおいて,EPCの動態異常が網膜異常血管形成過程に重要であり,EPC動態の把握が診断的意義を有すること,さらに,EPC動態異常の是正が新たな治療戦略となりうることが示された.(日眼会誌117:893-902,2013)