論文抄録

第117巻第12号

臨床研究

3D立体映像の視聴に関する実態調査:多施設共同研究
仁科 幸子1), 若山 曉美2), 三木 淳司3), 内海 隆4), 羅 錦營5), 林 孝雄6), 臼井 千恵7), 大月 洋8), 宮田 学8), 佐藤 美保9), 三村 治10), 木村 亜紀子10), 菅澤 淳11), 中村 桂子11), 不二門 尚12)
1)国立成育医療研究センター眼科
2)近畿大学医学部眼科学教室
3)川崎医科大学眼科学教室
4)内海眼科医院
5)ら(羅)眼科
6)帝京大学医療技術学部視能矯正学科
7)帝京大学医学部眼科
8)岡山大学大学院医歯薬学総合研究科眼科学
9)浜松医科大学医学部眼科学教室
10)兵庫医科大学眼科学教室
11)大阪医科大学眼科学教室
12)大阪大学大学院医学系研究科医用工学講座感覚機能形成学

目 的:弱視斜視患者の3D映像視聴の障害につき検討する.
対象と方法:小児6~19歳,成人20~39歳の弱視斜視患者と正常者に対し,3D映画,アトラクション,テレビ,ゲームの視聴経験と見え方,副症状について多施設でアンケート調査を行った.眼科検査所見を後ろ向きに調べ関連性を検討した.
結 果:総数507例,視聴経験あり342例のうち弱視斜視群は212例(62%)であった.立体的に見えない比率は映画17~18%,アトラクション6~7%,テレビは小児32%,成人50%,ゲームは小児23%,成人17%であった.副症状は映画,ゲームで成人65%,75%にのぼり,小児34%,26%に比べ高率であった(p<0.01).近見立体視Fly(-)ではゲーム,輻湊不全では映画で立体的に見えない比率が高かった(p<0.05).
結 論:弱視斜視患者には3D視聴困難例が多く,適性を判断するため詳細な両眼視,輻湊検査を行う必要がある.(日眼会誌117:971-982,2013)

キーワード
3D, 立体映像, 実態調査, 斜視, 多施設研究
別刷請求先
〒157-8535 東京都世田谷区大蔵2-10-1 国立成育医療研究センター眼科 仁科 幸子
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