目　的：全層角膜移植後角膜内皮機能不全（endothelial failure after penetrating keratoplasty：failed PK）に施行した角膜内皮移植術（Descemet’s stripping automated endothelial keratoplasty：DSAEK）の術後成績を検討する．
対象と方法：Failed PKに対して，DSAEKを施行した13例13眼．平均年齢は73.2歳．術前背景，視力，自覚乱視，角膜内皮細胞密度，術中·術後合併症などについて調べた．
結　果：PKの原因は佐藤式近視手術が最も多く4眼．平均経過観察期間は20.3±8.6か月（平均値±標準偏差）．平均logarithmic minimum angle of resolution（logMAR）視力は術前1.92，術後最終観察時0.89．平均自覚乱視は術前5.10±3.09 D，術後6か月7.25±4.16 D．術後6，12，24か月での平均角膜内皮細胞密度減少率は42.8%，51.3%，72.1%であった．明らかな術中合併症は認めず，術後は，再空気注入術施行4眼，遷延性上皮欠損1眼，拒絶反応1眼，最終的に再PKに至った症例3眼であった．
結　論：Failed PKに対するDSAEKは術後早期から視力改善が得られ有用であると考えられた．しかし，DSAEKでは治癒せず再PKに至る難症例も認めるため，今後はfailed PKに対するDSAEKの適応基準確立が必要である．（日眼会誌117：983-989，2013）