論文抄録

第117巻第2号

臨床研究

レーザースペックルフローグラフィを用いた正常眼における網脈絡膜血流動態と加齢の関係
田村 明子1), 小暮 朗子1), 渡辺 五郎2), 岸 章治2), 堀 貞夫1)3)
1)東京女子医科大学眼科学教室
2)群馬大学医学部眼科学教室
3)西葛西井上眼科病院

目 的:レーザースペックルフローグラフィ(LSFG-NAVI)を用いて正常眼の網脈絡膜血流動態と年齢の関係を検討する.
対象と方法:対象は全身および眼底疾患のない107例107眼の正常眼(21~78歳).LSFG-NAVIを用いて血流速度の指標であるmean blur rate(MBR),血流速度波形の歪度skewness(Skew),血管内の通り抜けやすさblowout score(BOS)を測定した.視神経乳頭と黄斑ではMBRとBOS,網膜動静脈ではSkewとBOSを求めた.
結 果:視神経乳頭,黄斑ではMBRおよびBOSともに年齢との負の相関を認めた.網膜動静脈ではSkewと年齢の相関が認められなかったが,BOSでは負の相関が認められた.
結 論:MBRおよびBOSは年齢と負の相関があり動脈硬化などの指標になる可能性が示唆された.LSFG-NAVIの血流指標は加齢に伴う疾患で新たな病態解明や診断·治療の指針をもたらす可能性がある.(日眼会誌117:110-116,2013)

キーワード
レーザースペックルフローグラフィ(LSFG-NAVI), 年齢, 網脈絡血流動態, 正常眼
別刷請求先
〒162-8666 東京都新宿区河田町8-1 東京女子医科大学眼科学教室 田村 明子
a-tamura@oph.twmu.ac.jp