目 的:眼内レンズの有無によりシリコーンオイル(silicone oil:SO)タンポナーデ時の眼圧上昇と角膜内皮障害に影響があるかを検討する.
対象と方法:SOタンポナーデを併用した硝子体手術を施行し,術後にSOを抜去できた79例80眼において,眼内レンズ(intraocular lens:IOL)挿入眼であった症例をIOL群,無水晶体眼であった症例をaphakia群とした.SO抜去による眼圧の変化,SO抜去時の角膜内皮細胞密度の減少率を後ろ向きに調査した.
結 果:SO抜去によりIOL群では眼圧に有意差を認めなかったのに対し,aphakia群では眼圧が有意に低下した.またIOL群と比べてaphakia群ではSO抜去時の角膜内皮細胞密度の減少率が有意に高かった.
結 論:IOL挿入眼では無水晶体眼と比べSOタンポナーデによる眼圧上昇や角膜内皮障害の合併症のリスクが軽減される可能性があると考えられた.(日眼会誌117:95-101,2013)