論文抄録

第117巻第4号

臨床研究

感染性角膜炎におけるグラム·ファンギフローラY®二重染色の有用性
宮崎 大, 魚谷 瞳, 魚谷 竜, 武信 二三枝, 稲田 耕大, 三宅 敦子, 井上 幸次
鳥取大学医学部視覚病態学

目 的:Impression法によるグラム染色·ファンギフローラY®二重染色の有用性を検討する.
対象と方法:感染性角膜炎を疑って二重染色を行った192例213眼について,臨床的な最終診断をもとにその特異性と感受性をレトロスペクティブに検討した.
結 果:感染性角膜炎165眼の内訳は,細菌性107眼,真菌性54眼,アカントアメーバ性15眼であり,二重染色にていずれかが陽性であった症例は147眼であった〔感度89.1%(95%信頼区間83.1%~93.2%),特異度79.1%(64.6%~89.0%)〕.二重染色の感度/特異度は,細菌性角膜炎において88.8%/82.1%,真菌性角膜炎において81.4%/98.1%,アカントアメーバ角膜炎において80.0%/97.0%となった.
結 論:Impression法による二重染色は,少量のサンプルで感度の高い結果を得ることができ,特に真菌·アカントアメーバ感染症に関して特異度が高く有用性が高い.(日眼会誌117:351-356,2013)

キーワード
グラム染色, ファンギフローラY®染色, アカントアメーバ角膜炎, 真菌性角膜炎
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