背景:まれな過剰涙丘の1例を報告する.
症例:11歳,男児.左下眼瞼結膜の腫瘤にて受診した.患者の全身状態には耳介の奇形などの異常は認めなかった.2年経過後に腫瘤表面の発毛により異物感を生じた.腫瘤を単純切除したところ自覚症状は消失し,その後腫瘤は再発しなかった.病理学的検査では,重層扁平上皮,皮脂腺,杯細胞,毛根,毛髪,脂肪,横紋筋など,正常涙丘に含まれる組織が認められた.
結論:本症例は過剰涙丘で,病理組織学的に分離腫と同類の疾患の可能性が考えられた.過剰涙丘の報告例は本邦初であると考えられた.(日眼会誌117:438-442,2013)