論文抄録

第117巻第7号

臨床研究

白内障手術適応に関するアンケート調査
茨木 信博1)2), 佐々木 洋2)
1)いばらき眼科クリニック
2)金沢医科大学眼科学教室

目 的:近年の白内障手術の進歩によって,手術適応や術前評価の検査も変化しているが実情は不明である.今回我々はアンケート調査で検討したので報告する.
方 法:大学病院眼科の全121施設と日本眼科学会会員14,134名中から無作為に抽出した1,413名に対し,白内障手術の適応,術前検査について質問した.手術を行っている群(執刀施設)と行っていない群(非執刀施設)に分けて比較検討した.
結 果:回答数は552件(36%)であった.執刀施設は72%で年間の手術件数は平均568件(0~4,000件)であった.手術を勧める際の最重要項目は,生活不自由度が最も多く,矯正視力がそれに次ぎ,両群間で差はなかった.手術を決定するための検査は,遠見視力,角膜内皮検査,近見視力,角膜形状検査が上位であった.手術適応とする矯正視力値は0.7未満が最も多かった.しかし,執刀施設では0.7以上でも手術をする施設が有意に多かった.画像解析装置や生活不自由度の問診票の使用はほとんどなかった.
結 論:執刀施設では矯正視力が非執刀施設より良好でも手術適応としている以外に,白内障手術の適応や検査に両群間で差がなかった.手術適応の最重要項目は,患者の生活不自由度であった.(日眼会誌117:541-547,2013)

キーワード
白内障手術適応, 術前検査, アンケート調査, 矯正視力, 生活不自由度
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