背 景:近年,多様な眼底疾患にベバシズマブ硝子体内投与(intravitreal bevacizumab:IVB)が広く行われるようになったが,薬剤由来とされる眼合併症の報告は少ない.今回我々はIVB後に周辺部角膜上皮下浸潤を生じた1症例を経験したので報告する.
症 例:症例は66歳男性.右網膜静脈分枝閉塞症に対して光凝固治療を受け経過観察されていたが,黄斑浮腫の増悪があったためIVBを施行した.術翌日,輪部周辺の結膜血管拡張とそれに隣接する周辺部角膜上皮下浸潤が観察された.副腎皮質ステロイド点眼により治療12日後には角膜上皮下浸潤は消失した.
結 論:IVB後に角膜上皮下浸潤を発症した1症例を経験した.角膜輪部血管に沿って浸潤があったことから何らかの免疫機構の関与が推測された.(日眼会誌117:558-560,2013)