目　的：当院における最近15年間の未熟児網膜症ならびに他の新生児合併症の推移について報告する．
対象と方法：1997～2011年に当院周産期センターで管理した出生体重1,000 g未満の児638例を酸素管理基準変更前の1997～2001年（前期，218例），変更後の2002～2011年（後期，420例）に分けて児の未熟性および未熟児網膜症の発症，治療状況を比較した．加えて，酸素管理基準変更により懸念される主な新生児合併症5疾患の発生状況について変更前後で比較検討した．
結　果：出生体重/在胎週数は，前期：765±138 g/26.5±2.2w，後期：753±158 g/26.1±2.3wと両群間で有意差は認めなかった．未熟児網膜症の発症率は前期：83.0%，後期：54.8%，治療率は前期：32.6%，後期：10.0%といずれも有意な減少を認め（p＜0.01），重症瘢痕形成率は前期：4.1%，後期：1.7%と減少傾向（p=0.06）であった．また，前期と後期とで他の新生児合併症の頻度に著変はなかった．
結　論：酸素管理基準緩和後に未熟児網膜症の発症，治療状況は著明に改善し，以後継続している．加えて，全身合併症の増加は認めなかった．（日眼会誌117：616-620，2013）