論文抄録

第118巻第1号

臨床研究

腸球菌による白内障術後眼内炎の臨床像の検討
鈴木 崇1), 戸所 大輔2), 小早川 信一郎3), 外園 千恵4), 江口 秀一郎5), 宮田 和典6), ビッセン宮島 弘子7), 池 康嘉8), 大橋 裕一1); 腸球菌眼内炎ワーキンググループ
1)愛媛大学医学部眼科学教室
2)群馬大学医学部眼科学教室
3)東邦大学医学部眼科学教室
4)京都府立医大学医学部眼科学教室
5)江口眼科病院
6)宮田眼科病院
7)東京歯科大学水道橋病院眼科
8)群馬大学医学部細菌学教室

目 的:腸球菌による白内障術後眼内炎(以下,腸球菌術後眼内炎)は,急激な視力低下を来し,しばしば不良な転帰をとることで知られる.今回,その患者背景,経過,治療,視力予後についてレトロスペクティブに検討した.
対象と方法:多施設アンケート調査で集積された腸球菌術後眼内炎30例について,臨床像を解析した.
結 果:患者の平均年齢は73.5歳で,全身合併症として糖尿病が10例にみられた.白内障手術から眼内炎発症までの日数は平均4.8日で,術後2日目発症が16例と最も多く,28例で硝子体手術が施行されていた.視力予後は,矯正視力が0.2以上は13例,光覚なし~0.1以下が15例であった.
結 論:腸球菌術後眼内炎は白内障術後早期に発症する可能性がある.また,視力予後は良好群と不良群の2群に大別できた.(日眼会誌118:22-27,2014)

キーワード
腸球菌, 白内障術後眼内炎, 糖尿病, 高齢者, 消化器疾患
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〒791-0295 東温市志津川 愛媛大学医学部眼科学教室 鈴木 崇
t-suzuki@m.ehime-u.ac.jp