目 的:本邦のアカントアメーバ角膜炎(AK)の発症動向について調査する.
方 法:2007年~2011年の5年間にAKと診断された症例に関する調査を全国の大学附属病院に依頼し,協力が得られた48施設の回答をもとに,発症者数,使用コンタクトレンズ(CL)の種類などを中心にその推移を検討した.
結 果:524例(男性255例,女性269例)が集積された.2007年~2011年の症例数の推移は105例,152例,155例,65例,47例と,2008年·2009年をピークに明らかな減少傾向を示した.また日常のケアが重要な従来型·頻回交換型ソフトCL装用者の症例全体に占める割合も2008年をピークにその後減少傾向であった.
結 論:今回の調査により,本邦のAK発症者が近年減少傾向にあることが明らかとなった.明確な理由については今後の検討が必要だが,近年,学会などが中心となって進めてきた啓発活動が一定の成果を上げた可能性も考えられる.(日眼会誌118:28-32,2014)