論文抄録

第118巻第10号

臨床研究

正常眼圧緑内障における初期視野障害様式
溝上 志朗1), 岩瀬 愛子2), 松元 俊3), 吉川 啓司4)
1)愛媛大学大学院医学系研究科医学専攻視機能再生学講座
2)たじみ岩瀬眼科
3)東京逓信病院眼科
4)吉川眼科クリニック

目 的:正常眼圧緑内障(NTG)における初期の視野障害進行パターンに関わる因子を検討する.
対象と方法:新規にNTGと診断された患者を対象に行われた多施設共同研究の視野データベース(107例178眼)を用いた.これらのうち,Humphrey自動視野計の測定プログラムSITA standard C(30-2)またはC(24-2)で測定され,mean deviation(MD)値が-6 dB以上,信頼性が良好で,かつ,緑内障半視野テストが異常を示した視野を選択した.さらにこれらの中から,中心10度内の12点の測定ポイントにのみパターン偏差(PD)の異常を認める初発傍中心暗点型(IPFS),IPFSより鼻側に位置する12点のエリアのみPDの異常を認める初発鼻側階段型(INS)をそれぞれ抽出し,それぞれの背景因子を解析した.
結 果:対象としてIPFS: 7例7眼,INS: 12例12眼が選択された.治療前平均眼圧については,IPFS(14.0±1.3 mmHg)が,INS(16.0±1.4 mmHg)より低値であった(p=0.0102).年齢(p=0.6487),等価球面度数(p=0.7561)には差を認めなかった.
結 論:NTGの初期の視野障害様式は眼圧レベルにより影響を受ける可能性がある.(日眼会誌118: 826-830,2014)

キーワード
正常眼圧緑内障, 視野, 眼圧
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〒791-0295 東温市志津川 愛媛大学大学院医学系研究科医学専攻視機能再生学講座 溝上 志朗
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