論文抄録

第118巻第10号

臨床研究

視野検査後の眼圧変動と24時間眼圧日内変動の関係
野呂 隆彦1)2), 中元 兼二3)4), 里 誠3)4), 安田 典子5), 伊藤 義徳1), 小川 俊平1), 中野 匡1), 常岡 寛1)
1)東京慈恵会医科大学眼科学教室
2)麻生総合病院
3)日本医科大学眼科学教室
4)東京警察病院眼科
5)昭和大学医学部眼科学教室

目 的:原発開放隅角緑内障(POAG)における視野検査後の眼圧変動とそれに影響する因子,また,24時間眼圧日内変動との関係をレトロスペクティブに検討する.
対象と方法:24時間眼圧日内変動を測定し,Humphrey Visual Field Analyzer施行後の眼圧変動を測定したPOAG 52例94眼を対象とした.視野検査後の眼圧変動を求め,変動の大きさで大·中·小変動群の3群に分け,各群の24時間眼圧を比較した.視野検査後の眼圧変動に影響する因子,大変動群となる因子を検討した.
結 果:視野検査後の眼圧変動は平均値±標準偏差:-0.28±1.90(範囲:-6.0~+5.0)mmHgであり,影響する因子を検討したが有意なものはなかった.大変動群の午前3時の眼圧は他の2群より有意に高かった(p<0.001).大変動群になりやすい因子は中心角膜厚(オッズ比=1.04,95%信頼区間=1.01~1.07,p=0.02)であった.
結 論:視野検査後の眼圧変動に一定の傾向はなかったが,視野検査後の眼圧変動が大きい症例は,夜間眼圧の上昇とも関連している可能性が示唆された.(日眼会誌118: 831-837,2014)

キーワード
眼圧, 視野検査, 日内変動, 原発開放隅角緑内障
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〒105-8461 東京都港区西新橋3-25-8 東京慈恵会医科大学眼科学教室 野呂 隆彦
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