論文抄録

第118巻第2号

臨床研究

政府統計による小学生の視力不良の経年推移と関係因子の解析
枩田 亨二1), 横山 連2)
1)まつだ眼科
2)大阪市立総合医療センター小児医療センター小児眼科

目 的:政府が行った統計データを用いて,近年の小学生の裸眼視力不良の増加傾向と関係因子について検討する.
方 法:学校保健統計調査から1979~2012年の小学生で裸眼視力0.7未満者の割合をグラフ化して経年推移を検討した.また,県別の視力結果,身長,全国学力·学習状況調査の睡眠時間,学習時間,テレビゲーム時間,および気象庁の年間日照時間などのデータを用い,視力不良者割合を目的変数,他の県別データを説明変数として関係因子について解析した.
結 果:視力不良者の増加は単純ではなく,一時期減少傾向を示し,その時期に身長の伸びも止まっていた.視力不良は日照時間と負の関係を示し,身長とは単回帰でのみ正の関係を認めた.一方,学習時間とテレビゲーム時間は視力不良と有意の関係が認められなかった.
結 論:小学生の裸眼視力不良をその大部分を占める近視によるものとみなすと,近視の発症は光環境の影響を受けると考えられる.(日眼会誌118:104-110,2014)

キーワード
近視, 身長, 日照時間, 睡眠時間, 経年推移
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〒590-0503 泉南市新家2965 まつだ眼科 枩田 亨二
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