論文抄録

第118巻第2号

症例報告

ユニットドーズタイプ精製ヒアルロン酸ナトリウム点眼液によるアレルギー性接触皮膚炎の1例
助川 俊之
加賀市民病院眼科

背 景:ユニットドーズタイプ精製ヒアルロン酸ナトリウム点眼液(以下,ヒアレイン®ミニ)は安全性が高いと認識されているが,アレルギー性接触皮膚炎を生じた症例を経験したので報告する.
症 例:67歳女性,視力低下を主訴に初診した.
所 見:両眼にドライアイ,白内障,眼瞼下垂を認め,両眼水晶体再建術,眼瞼下垂手術を施行した.術後ドライアイが重症化しSjögren症候群を認めた.角結膜上皮障害は,涙点プラグ,ヒアレイン®ミニと0.1%フルオロメトロン点眼液にてコントロールできた.しかし眼瞼炎を繰り返し発症するようになり,パッチテストにてヒアレイン®ミニの添加剤であるε-アミノカプロン酸が陽性で,アレルギー性接触皮膚炎と診断された.ε-アミノカプロン酸を含まない点眼液に変更し,アレルギー性接触皮膚炎は再発していない.
結 論:慢性疾患に対し長期間同じ点眼液を使用する場合,アレルギー性接触皮膚炎の発症に留意する必要がある.(日眼会誌118:111-115,2014)

キーワード
ヒアルロン酸ナトリウム点眼液, ユニットドーズ, アレルギー性接触皮膚炎, ε-アミノカプロン酸, ヒアレイン®ミニ
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