目 的:陸上自衛官における屈折異常矯正法の現状を調査する.
方 法:陸上自衛隊東北方面隊船岡駐屯地に所属する自衛官519名に対しアンケート調査を行った.
結 果:516名(99.4%)の隊員から回答を得た.246名(47.7%)の自衛官が運転の際,眼鏡やコンタクトレンズ(CL)による視力矯正を必要としていた.CL装用者144名中,過去にCL関連のトラブルを経験したものは52名で,うち35名は演習中のトラブルを経験していた.眼鏡装用者の66.9%,ディスポーザブルソフトCL装用者の63.5%が演習中の眼鏡,CL使用は不便であると回答した.CL装用者の33.1%が演習中はCLをたまにしか,61.9%はまったく交換していなかった.東日本大震災発災後の救援活動に派遣されたもののうち,派遣中の眼鏡やCLに関連するトラブルに対して21.5%が「非常に心配」,46.9%が「多少心配」と答えた.4.9%は屈折矯正手術をすでに受けていた.
結 論:自衛官の約半数に矯正を必要とする屈折異常があり,自衛官における屈折矯正法について,より安全で任務に影響のない方法を検証すべきであると考えられた.(日眼会誌118:84-90,2014)