論文抄録

第118巻第6号

臨床研究

パンクタルプラグ®Fにおける脱落率と合併症の検討
木村 健一, 横井 則彦, 稲垣 香代子, 小室 青, 薗村 有紀子, 木下 茂
京都府立医科大学眼科学教室

目 的:パンクタルプラグ®F(PPF)の脱落率,合併症について,パンクタルプラグ®(PP),スーパーフレックス®プラグ(SFP),スーパーイーグル®プラグ(SEP)と比較検討する.
対象と方法:PPFを用いて涙点プラグ挿入術を行った24例31眼について,涙点プラグの迷入率,脱落率,脱落までの期間,脱落前後の涙点サイズ,挿入後の肉芽形成および白色塊形成について,PP,SFP,SEPの既報と比較検討した.
結 果:挿入時のPPFの迷入はなく,観察期間中の脱落率は43.5%,脱落までの期間は158.2±175.7(平均値±標準偏差)日,50%のプラグが脱落するまでの期間は234日で,SFPに比べ有意に脱落しにくかった(p=0.0012).脱落前後の涙点サイズ(mm)は0.61±0.18から0.78±0.14へと有意に拡大した(p<0.001).肉芽は4.3%にみられたが,PP(19%,p=0.015)やSEP(34.5%,p<0.0001)より有意に少なく,白色塊の形成は認めなかった.
結 論:PPFは迷入せず挿入が容易で,脱落しにくいという従来のPPの性質を持ちつつ,肉芽も生じにくいという特徴を備えている.(日眼会誌118:485-489,2014)

キーワード
パンクタルプラグ®F, ドライアイ, 涙点プラグ, 脱落率
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