目 的:プレート型開瞼器装着下における硝子体内注射施行時に,眼瞼周囲のドレーピングの有無により,硝子体内注射針刺入部位の結膜嚢の細菌検出率に違いがあるかどうか検討する.
対象と方法:本研究は多施設前向き無作為化比較試験であり,12施設で加齢黄斑変性に対し硝子体内注射を予定されている例を同数ずつドレーピングあり,なしの2群に無作為割り付けした.施設基準での投与前処置の後,ドレーピングは割り付けどおりとし,本研究規定の開瞼器を装着して硝子体内注射施行後,刺入部結膜を綿棒で拭い,その綿棒を細菌培養用に提出した.
結 果:通常培養で5眼(1.9%),増菌培養で25眼(9.5%)に細菌が検出されており,両者をあわせてドレーピングあり群での検出率は9.9%,なし群で13.0%であり,ドレーピングの有無で検出率の差はみられなかった(p=0.561,Fisher’s exact test).
結 論:眼瞼を被覆できるタイプの開瞼器の使用下での硝子体内注射の際,眼瞼ドレーピングの有無は結膜嚢細菌検出率に影響を及ぼさなかったことから,十分な配慮のもとでの施行の場合はこのステップは省略しうることが示された.(日眼会誌118:640-644,2014)